書肆侃侃房 新聞・雑誌掲載情報(2017年9・10月)

2017年9月

朝日新聞(9月5日) 『子らと妻を骨にして』

《松尾さんと家族3代は、どう原爆と向きあったのか。そんな家族の物語が、やわらかなイラストと句でつむがれる。〔……〕「祖父が体験したことを、世界中に知ってもらいたい」と(平田さんは)話す》

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BAILA(10月号)評者=江南亜美子さん 『別府フロマラソン』

 

共同通信配信 「短歌はいま」(東直子さん) 『白猫倶楽部』『スウィート・ホーム』

《「ニューウェーヴ」と呼ばれた新しい口語短歌の潮流の一人であった西田の作品が、また歌集としてまとまった形で読めることはうれしい》

 

NHKテキスト「まいにちスペイン語」(2017年10月号) 『聖地サンティアゴへ、星の巡礼路を歩く』

《登場人物がそれぞれ魅力的で、1日1日にドラマがあり、セリフや情景描写に読み手の感情も揺さぶられる》

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週刊金曜日(9月8日号) 『聖地サンティアゴへ、星の巡礼路を歩く』

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西日本新聞(9月17日) 『博多ニワカそうすの塗るだけレシピ』

《万能調味料を使ったレシピ集。和食に洋食、中華にパンなど、塗るだけでプロの味になるという101のレシピを紹介している》


朝日新聞(9月21日)評者=村島里佳さん 『別府フロマラソン』

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西日本新聞(9月23日) 『子らと妻を骨にして』

《1発の原子爆弾がもたらした悲劇、残された者の苦悩、その後の歩みが、松尾さんの句も引用して丹念に描かれている》

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週刊ポスト(9月29日号)「著者に訊け!」 『別府フロマラソン』

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・モグモグ(10月号) 『別府フロマラソン』

《別府が舞台の痛快青春小説です》

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2017年10月

毎日新聞(10月9日)「詩歌の森へ」(酒井佐忠さん) 『眠れる海』

《歌の声と映像、そして衣装。ジャンルの違う三つのアートが一体となって不思議な世界を形づくる。まるで眠る海からあふれ出た少女の静かな、だが揺れ動く呼吸に耳をそばだてるような空間。ここではない、どこか。現在の不協和音に身を任せながら、新たな私の世界を模索する》

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日本経済新聞(10月18日)「気鋭歌人の群像」(梅内美華子) 『しんくわ』『恋人不死身説』

《若手歌人の作品に込められたユーモアやウイットはより先鋭的になっている〔……〕彼らが笑いの裏に隠している静かな悲哀を見落としてはならないだろう》

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・長崎新聞(10月22日) 『子らと妻を骨にして』

《奈華さんは「原作の本の力に突き動かされるように漫画を描いた」と振り返り、平田さんは「小学校高学年から読んでもらえるのではないか。読んで考えたことを周りの人に伝えてほしい」と話した。市長は「漫画など、平和について考えるさまざまな"入り口"を準備することは大切」と話した》

東京・赤坂の「双子のライオン堂」にて、設立15周年記念「書肆侃侃房全点フェア」がはじまります!

東京・赤坂の「双子のライオン堂」にて、設立15周年記念「書肆侃侃房全点フェア」がはじまります!9月6日(水)からの開催です。関連して、会期中にイベントも行われます。あわせてお楽しみください。

■イベント

①歌集『眠れる海』(書肆侃侃房)刊行記念 野口あや子朗読&トークイベント

日時:2017年9月17日(日)18時から 料金:1000円

            *歌集写真で使用した衣装を公開いたします。

 

 

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②染野太朗×花山周子トークイベント

日時:2017年10月1日(日)18時から 料金:1000円 

 

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③文月悠光×堀田季何トークイベント

日時:2017年10月13日(日)19時から 料金:1000円 

 

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④『たべるのがおそい』読書会

日時:2017年10月14日(土)15時半から 料金:1000円 

 

⑤木下龍也×尼崎武トークイベント「猫背なふたり」

日時:2017年10月21日(日)15時から 料金:1000円 

『つむじ風、ここにあります』の四刷が決まった木下龍也さんと、今年『新しい猫背の星』を発表した尼崎武さんが、互いの第一歌集、そして短歌について語り合います。なんと当日は、尼崎さんが短歌に曲をつけて歌ったりもします。いっぽうの木下さんは……?

 

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8月9日を忘れないために

 今年も8月9日がやってきた。被爆72年。松尾あつゆきさんの原爆句が心をよぎる。先週訪れた長崎市立図書館では、山端庸介生誕百年記念写真展が開かれていた。長崎に原爆が投下された翌日の8月10日に市内に入り、写真撮影をした人だ。日本軍のカメラマンで当時の写真はモノクロ。そのとき、福岡の画家山田栄二も同行、詳細なメモをとっている。モノクロ写真は、真っ黒に焼け焦げた写真だったり、崩れ落ちた瓦礫の山だったりするのだが、山田のコメントによって、そこに赤い血の跡、焼けてくすぶる建物の赤い炎などの色彩が加わり、イメージが広がっていく。米軍が長崎に入り撮影したのは1カ月もあとのことで、そのころにはいくらか、崩壊した道路や線路、建物が少しずつ片付けられていて、生々しさは減っている。

 写真をみながら、思いは、初めて読んだ『原爆句抄』へと戻っていった。この衝撃的なタイトルの自由律俳句の数々に心をつかまれた私は、『原爆句抄』の復刊を決意することになった。ここから、著者で俳人の松尾あつゆきさん、原爆に遭いながらも一人だけ助かった長女のみち子さん、その長男、平田周さんとの長い旅が始まった。

 

 炎天、子のいまわの水をさがしにゆく

 あわれ七ヶ月のいのちの、はなびらのような骨かな

 まくらもと子を骨にしてあわれちちがはる

 なにもかもなくした手に四まいの爆死証明

 

 この句集の復刊で何度か長崎を訪れたとき、実は、平田さんの希望は英語版をつくることだと聞かされていた。生前、あつゆきさんは、手記を英文にしてあり、それが残っていたのだ。英語教師でもあった祖父あつゆきさんの希望をなんとしてでも叶えてやりたい、それが平田さんの強い願いだった。英語版にして、全世界の人に原爆の悲惨さを伝えたい。それが、理不尽に命を絶たれた、妻と三人の子へのオマージュであり、心に秘めた悲願だった。もちろん、残された数枚の英文だけでは本にならない。英語版の一冊の本にするには、もっと多くの英文が必要だ。

 考えられたのは、英語版にするための物語が必要だろうということ。で、平田さんに、この句集のほかに、もう一冊、平田さんがわかるかぎりの家族の物語を書いていただけませんか、といってみた。おりしも、その年、被爆70年の節目でもあった。わずか2年前のことなのに、はるか昔のことのように思える。本など書いたことのない平田さんに無謀な要求をしたのはわかっていたが、それぐらいの覚悟がなければ、とも思ったのだった。平田さんは見事にその思いに応えてくれた。さすが、松尾あつゆきの孫である。

 こうして、2015年の8月9日、『このかなしき空は底ぬけの青 消せない家族の記憶1945・8・9』ができあがった。

 それでも、英語版は右から左というわけにはいかない。英語版を出版してくれる欧米の出版社を探さなければならない。

 私はあきらめたくなかった。では、どうすれば実現するか。次に思いついたのは漫画にすることだった。漫画なら、出版してくれる欧米の出版社がみつかるかもしれない。そうだ、長崎に知り合いの漫画家がいる。奈華よしこさん。彼女とは長い付き合いだったが、このところ、あまり描いてはいないらしい。彼女に、まず読んでみて、と、この二冊の本を送った。そしてもし漫画にしてみたいと思ったら、知らせて、と伝えた。

 彼女は泣きながら読み、漫画にしてみようと、思ったと手紙が届いた。特にみち子さんの思いを共感したといってくれた。平田さんと一緒にお会いした。彼女は、全部手描きなので時間がかかる、といわれた。つまり、パソコンを使わないのだ。

 少しずつネームが届き、さすが漫画というページが仕上がっていく。何度かの打ち合わせのあと、きれぎれに原画が届いた。8月9日を目前にして、一冊にしあがった本を前にしたとき、みんなで作り上げたという、言葉にはできない達成感があった。

 みんなの努力は報われ、形になった。

 漫画本のタイトルは『子らと妻を骨にして 原爆でうばわれた幸せな家族の記憶』。あつゆきさんの家族は平田さんの孫まで数えれば5代目である。平田さんでさえ、若いときは、「祖父や母の原爆への強い怒りや主張をほとんどわかっていなかったと思う」といわれる。だからこそ、後世に伝えなければ、と。

 私に平田さんとの橋渡しをしてくれたのは橋場紀子さん。そして、打ち合わせはいつも喫茶「ニューポート」。訪れるたびに特別の予約席を提供してくださるマスターの坂口末之さんは、私と同学年。今では同志のような存在である。

 

 広島の8月6日、長崎の8月9日は、私たちにとって重く切ない日である。

 

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 <書誌情報>

・『原爆句抄』松尾あつゆき

・『このかなしき空は底ぬけの青 消せない家族の記憶1945・8・9』平田周

・『子らと妻を骨にして 原爆でうばわれた幸せな家族の記憶奈華よしこ/原著 松尾あつゆき・平田周

『別府フロマラソン』刊行記念トークイベント「別府は小説より奇なり!」が開催されました!

『別府フロマラソン』(書肆侃侃房)刊行記念トークイベント「別府は小説より奇なり!」が冨士屋ギャラリーにて開催されました。著者・澤西祐典さんとカモシカ書店店主・岩尾晋作さんによる対話には、30名ほどの方が参加されました。

第七回別府八湯検定試験の別府会場ではサイン会も行われました。

 

 

ご来場いただいたみなさん、ありがとうございました!

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「そうだ!ポルトガルへ行こう2017Summer」が開催されました!

「そうだ!ポルトガルへ行こう2017Summer」がSOOO dramatic!にて7月29日(土)に開催されました!

書肆侃侃房は『光の街、リスボンを歩く』『リスボン 坂と花の路地を抜けて』『ポルトガル物語 漁師町の春夏秋冬』などを販売していました。

ご来場いただいたみなさん、ありがとうございました。

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写真はボランティアの山澤さんによるものです。ありがとうございます!!

「湯~園地」で新刊『別府フロマラソン』を販売してきました!

「湯~園地」で新刊『別府フロマラソン』を販売してきました!

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 *『別府フロマラソン』(澤西祐典)の書誌情報は→

http://www.kankanbou.com/kankan/index.php?itemid=809

書肆侃侃房 新聞・雑誌掲載情報(2017年8月)

長崎新聞(8月1日) 『子らと妻を骨にして』

《長崎原爆で妻と3人の子どもを失った長崎の俳人、故松尾あつゆきさんと家族を描いた漫画『子らと妻を骨にして』が被爆72年となる8月9日、発刊される。〔……〕戦時中、不自由な中でも家族に囲まれ穏やかに暮らしていた日々、8月9日の夜に焼け野原で妻子を探し回った様子、自ら家族を火葬したこと、大けがを負った長女みち子さんの体験などが丁寧に描かれている》

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・読売新聞(8月4日) 『子らと妻を骨にして』

《松尾が原爆投下後の焼け野原で家族を捜し回り、自ら火葬するなどした体験を漫画で紹介し、重傷を負った長女のみち子さんの手記に基づく物語も掲載。3日に長崎市役所で記者会見した平田さんは「漫画を通じて、若者や子育て世代など幅広い年代の人に原爆の恐ろしさを知ってほしい」と話した》

大分合同新聞(8月13日) 『子らと妻を骨にして』

長崎県在住の漫画家・奈華よしこが、原爆の脅威に翻弄されながらも強く生き抜く家族の物語を漫画で再現。心に響く一冊を完成させた》

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朝日新聞(8月14日) 『子らと妻を骨にして』

《松尾さんと親子3代はどう原爆と向きあったか。そんな家族の物語が、やわらかなイラストと句でつむがれる。〔……〕執筆にあたっては、俳句をちりばめながら、松尾さんの内面を描くことに努めた。長女みち子さんとその子、平田周さんがそれぞれの視点で原爆と向きあう姿も描き、原爆と家族3世代の物語に仕立てた。〔……〕「漫画にすることで、より広い層に触れてもらいたい」と話す》

www.asahi.com

マガジン航(8月17日) 「福岡の出版社、書肆侃侃房の挑戦」(積読書店員ふぃぶりおさん)

「街」で出版をすることの意味、その矜持と覚悟を垣間見ることができた。ローカルという意味での「まち」が、今後の出版や書店に携わるものにとってのキーワードになること(事実なっていること)は間違いない。田島さんがおっしゃった「楽しくないことはつづかない」という台詞が耳から離れない。ネット書店、そして電子書籍の「時代」になっている現状ではあるが、ひとの手のぬくもりを介した商業形態も生き残っていくことを、私自身は強く願っている。業界の暗さを嘲笑する声ではなく、具体的にかつ楽観的に(ただし現状は冷徹に判断したうえで)「本を読む場」と「本を手に入れる場」が提供されるために、諦めることのない“声”を上げ続けたい》

福岡の出版社、書肆侃侃房の挑戦 « マガジン航[kɔː]

 ・ポルトガル便り(第53号) 『ポルトガル物語』

イベリア半島の端っこの小さな漁師町は最高に素敵な舞台だった。極楽市場に集うのは、人と花と笑う犬。〔……〕愛しく切なく、かけがえのない日々》

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西日本新聞(8月18日) 『別府フロマラソン』

《別府の歴史に関する内容も盛り込まれ、読めばかなりの「別府事情通」になれる一冊。〔……〕澤西さんは「別府は小説を超えるほどのおかしな街。別府の人は当たり前のように思っているが、それが魅力になっている。別府にささげる作品です」と話す

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毎日新聞(8月20日)「カバーデザイン」 『別府フロマラソン』

《表紙カバー(装画:藤沢さだみ)には、血の池地獄別府ラクテンチなどの名所が湯煙に浮かぶ。「ミャア」の一声でマラソンスタートを告げるネコのメイの姿も》

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・CREA(2017年9月号) 『優しい嘘』

《母と姉妹2人、裕福ではないものの平穏に暮らしてきたはずだったある日、妹のチョンジが遺書も残さず突然自ら命を絶った。家族に関心の薄かった姉のマンジも妹の死の理由を探り始め、チョンジがいじめにあっていたと知る。その頃、いじめっ子の少女、ファヨンも実は精神的に追い詰められていて……。少女たちの心の揺れをほろ苦く描く韓国文学》

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・CREA(2017年9月号) 『ひとさらい』

《ひとは言葉によって自由になれる気がします》

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図書新聞(9月2日)評者=渡辺直紀さん 『優しい嘘』

《人と人のつながりの重い相関を、作者は軽快かつ明快な文体で描いていく。チョンジの死に遭いながら、母親や姉のマンジはつねに前向きで快活なのも、この手の物語では特異だ。そう考えると、現代韓国のヤングアダルト=青少年小説とは、その昔の教養小説のように世界の不条理を前提としていながらも、主人公の成長や克己よりは、なにか別の高みを目指しているのかもしれない。そのような、現代韓国のヤングアダルト小説の現住所を考えさせてくれるのが、この作品である》

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現代詩手帖(9月号)「うたの聴こえるところまで」評者=野口あや子さん 『白猫倶楽部』

《社会の枠組みや意味づけの重力からくるりくるりと猫のように身をかわす言語感覚が美しい》

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朝日新聞(8月30日) 『別府フロマラソン』

別府温泉をめぐる巡る架空のレースなどを通じて、ユーモアたっぷりに地域の魅力を書き下ろした》

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