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つれづれkankanbou

福岡の出版社「書肆侃侃房」の日々をつづる。

旅から生まれた本

書肆侃侃房の原点はと聞かれて、ふっと詰まった。うーん、名前の由来は自分の詩集を作るときに友人から出た言葉がきっかけで決まった「侃々諤々」だけど・・・・。やはり旅の本かなあと思う。福岡にはたくさんの出版社があって、後発組の書肆侃侃房だったから、他と同じスタイルの出版は無理だと思った。その頃、旅の本は地元の旅本も含めて殆どが大手出版社が取材して作るので、地元はやらなかった。わたしも編プロ時代のノウハウを使えるということもあって、あ、これいいかもと思った。

というわけで旅からいろんな本が生まれた。旅の本はもちろん作りつつ、出会った人と別の切り口の本が生まれる。人との出会いが思いがけない本を生み出していくのを見るのはたのしい。

韓国とは、詩人の付き合いしかなかった。それでソウルに旅するうちに、韓国女性文学シリーズが生まれるきっかけになった。『アンニョン、エレナ』がそのはじまりだが、その前に「コーリング・ユー」という短編を『たべるのがおそい』の創刊号に収録し、「おもしろい」といわれた。『アンニョン、エレナ』には、7つの作品が詰まっている。著者のキム・インスクさんとお会いして、はじめて、韓国文学のあり方が日本と違うことを知った。作家にとって、民主化の激動期に青春時代を過ごしたことがいかに大きいか、キムさんの話を聞きながら、つくづくそのことを思った。心に抱えた闇の深さ。それを見据える目。その目は、読者自身の闇の在り処にも届いてくることを思った。

 

アンニョン、エレナ (Woman's Best 韓国女性文学シリーズ1)

アンニョン、エレナ (Woman's Best 韓国女性文学シリーズ1)

 

 

文学ムック たべるのがおそい vol.1

文学ムック たべるのがおそい vol.1