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つれづれkankanbou

福岡の出版社「書肆侃侃房」の日々をつづる。

変わらぬ光

寒いと言いながら仕事をこなしているうちに、1月、2月と過ぎていき、3月になってしまった。何人かの著者との悲しい別れが思い出させられる。

2009年1月24日深夜に亡くなった笹井宏之さん。笹井さんの消えない悲しみを一体どうしたらいいのだろう。最近やっと泣かずに、ご家族と話せるようになった。笹井さんの歌は「あかるいかなしみ」にみちている、といつも思う。「あかるいかなしみ」なんて言葉があるのかどうか、わからない。「ほんのひとさじ」の巻頭に笹井宏之さんの歌を紹介するために、いつも三冊の歌集を読み返す。そして何度も同じ歌に立ち止まる。短歌とは、そんな役割を担っているものなのではないだろうか。
『ひとさらい』『てんとろり』『八月のフルート奏者』三冊の歌集。この春、『八月のフルート奏者』のオビを変えた。いつまでも忘れないよ、との思いを託したつもりだ。

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八月のフルート奏者 (新鋭短歌シリーズ4)

八月のフルート奏者 (新鋭短歌シリーズ4)

 

 

20008年2月24日深夜、正確には25日0時30分、テレニン晃子さんが亡くなった日だ。幼い柚莉亜ちゃんを遺して去っていった。まだ2歳だった柚莉亜ちゃんは、もう11歳になり、お父さんの仕事の都合で住み慣れた福岡の地を離れる。
晃子さんは、『ゆりちかへ ママからの伝言』を書いて、力尽きた。そこには、幼い娘への思いが切々とつづられている。

 

ゆりちかへ―ママからの伝言

ゆりちかへ―ママからの伝言

 

 



わたしの手元には二人の遺した本が変わらぬ光を放っている。

それはさびしさやかなしみではなく、希望であってほしい。
この別れの季節にあってこそ。