つれづれkankanbou

福岡の出版社「書肆侃侃房」の日々をつづる。

『ゆりちかへ ママからの伝言』から10年が過ぎ(田島安江)

書肆侃侃房が今のように、書店に知られるようになったきっかけは、2007年10月9日発刊のテレニン晃子著『ゆりちかへ ママからの伝言』である。出版をはじめて、5年ほどが経っていた。そのころは、ほんとうに作った本が売れなかった。書店(たとえば東京や大阪の)に行っても「まあ、福岡からですか」と、邪険にされることはなかったが、本を置いてくださるというところはほとんどなかった。だからいつもめげる。ところがこの『ゆりちかへ ママからの伝言』は、他の本とは違う軌跡をたどった。

 

地元新聞やテレビニュースでは取り上げられ、やがて、全国へと広がっていった。テレビというのは恐ろしい。いくつかのテレビで取り上げられるたびに書店からの問い合わせが次々にある。とくに、「ベストハウス123」という番組の「涙が止まらない。感動の実話本123」で、一位になったとき、電話やファックスが止まらなくなった。その時の書店からの第一声が「おたくの出版社の名前、何と読むんですか」であった。

 

こうして、この本は書肆侃侃房の名前をすこしだけど、書店に広めてくれた。それから10年。その「ベストハウス123」という番組の制作にかかわったという人がテレニン晃子さんの没後10年であることに気づいたのだという。「あのゆりあちゃんはいま、どうしているだろう」。その制作会社から、電話で問い合わせがあった。「ゆりあちゃんは12歳。中学一年生になっています」というと、「10年たって、ゆりあちゃんはいま」というような番組を作りたいので協力してほしいと。

それが来週6月6日(水)20時から22時放送のTBS「マサカの映像グランプリ」という番組で放送される。

 

晃子さんが亡くなったとき、まだ2歳だったゆりあちゃん。毎年のように会っていたので、その成長ぶりを見ていて、うれしかったけど、今回、インタビューに答えるゆりあちゃんをみて、ああ、ここまで、とうれしくて涙が出た。詳しくはテレビを観てもらいたいので、書かないけれど、本というものの確かさ、本をつくることの喜びは、こうして伝わっていっているのだと思う。

 

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テレニン晃子『ゆりちかへ ママからの伝言』

四六判、並製、152ページ、オールカラー

定価:本体1,300円+税

ISBN978-4-902108-62-0 C0095