笹井宏之さんの命日に(田島安江)

今日は1月24日。笹井宏之さんの命日だ。

歌集2冊『ひとさらい』と『てんとろり』を出版してからもう、8年が経つ。歌集制作のために通った時間を忘れることができない。あの年、激しく雪が舞った。カバーデザインを持って、伺った帰り。

有田から福岡に戻る途中の高速道路で、車は降りしきる雪に閉じ込められそうになった。やっとの思いで少しずつ進んだ。途中立ち往生していたり、ひっくり返ったりしている車を横目で見ながら。

歌集を命日に間に合わせる、そのことだけを考えていた。

あれから8年。当時は、今の状況、すなわち、短歌ムック「ねむらない樹」の創刊と「笹井宏之賞」の新設など、夢にも思わなかった。

あの、雪に閉じ込められそうな状況からなんとか抜け出せたとき、雪景色の爽やかな明澄さに救われたように、今日もまた、あのときの明澄さが心をとらえる。

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