つれづれkankanbou

福岡の出版社「書肆侃侃房」の日々をつづる。

今村夏子さんの新作を、書店に並ぶ前に読むシアワセ

わが社の文学ムック「たべるのがおそい」vol.1に掲載され、第155回芥川賞候補となった今村夏子さんの小説「あひる」。受賞は逃しましたが、選考委員の評価も高く、わが社にも「単行本の発刊はまだですか?」という声も多く寄せられました。

デビュー作「こちらあみ子」以来、今村さんの次の作品が待ち望まれていただけに、この「あひる」は話題を集めましたし、一日も早く単行本を出版したい思いはありましたが、「あひる」は短篇小説ですので、できれば今村さんの次の作品待ってからという思いでした。そしてついに、新しい作品が届きました。

新しい原稿を前にどきどき、わくわく。好きな作家の書き下ろしを、本になる前に読むことができる、編集者だけが味わえるシアワセに、ちょっと心が震えましたよ。

あひるを飼うことになった家族と学校帰りに集ってくる子どもたち…幸せそうな日常にふと差し込む危うさが描かれた「あひる」。おばあちゃんと孫たち、近所の兄妹とのふれあいを通して、揺れ動く子どもたちの心の在りようをあたたかく鋭く描く「おばあちゃんの家」「森の兄妹」の三篇。

何気ない日常のあたたかな空気に、ふとさしこむ影。読んでいる間の何とも言えない心のざわつき…今村夏子独特のワールドをぜひ!(瀬川)

 

あひる

あひる