道下さん、リオパラリンピックおめでとう!

リオパラリンピックの女子マラソンでみごと銀メダルに輝いた道下美里さん。

リオから帰国したときは、福岡空港に押しかけてみんなでお出迎え。彼女は「おかえりなさい。おめでとう」と歓声を上げるラン仲間に「リオにいるときに不安で気持ちが負けそうになったときも、応援してくれるみんなのことを思い出して『私にはみんながついてるから、きっと勝てる!』と自分に言い聞かせました。本当にありがとうございました」と、あの素敵な笑顔で言ってくれ、応援している私たちの胸にぐっとこみ上げるものがありました。

私がみっちゃんこと道下さんに初めて会ったのは2年前。著書『走ることで人生が変わった』で取材させていただいているときでした。市民ランナーのさまざまな想いを聞いて回っているある日見つけたのは、FBに上ってきた萩往還を走っているみっちゃんの動画でした。私はみっちゃんのまぶしいほど美しい笑顔に惹きつけられました。横で伴走しているのは樋口敬洋さんでした。大濠公園でいつも練習している歯医者さんの樋口さんがブラインドランナーの伴走をされているという話は聞いていましたから、「わぁ、この方がみっちゃんなんだ」と、思わず声を上げました。なんとキラキラした笑顔で走っているんだろうと。目が不自由なのにいつも笑顔で楽しそうに走り、周りの人を明るい気持ちにさせてくれる可愛いランナー、みっちゃん。実際にお会いして、ますますファンになりました。

みっちゃんは、膠様滴状(こうようてきじょう)角膜ジストロフィーという病気を小学4年生のころに発症。手術を何度か受けましたが、視力は徐々に落ちてきて、25歳のときには視力のほとんどを失いました。途方に暮れ、後ろ向きの日々を送っていたみっちゃんを前向きにしてくれたのは盲学校で出合った走ることでした。「走ることが後ろ向きの日々から脱出させてくれました。見えない私の日常生活の壁も乗り越えさせてくれました」。私がお会いした頃のみっちゃんは、萩往還70キロを完走し、大阪国際女子マラソンを走り、新たな目標として、リオデジャネイロで初めてできるかもしれないと言われているパラリンピックの盲人女子マラソン出場を目指して練習に励んでいるときでした。そして今回、その念願を伴走の堀内規生さんとともに達成して、みごと銀メダルに輝くという快挙に! 本当に苦しい練習に耐えて、その栄冠を手にしたみっちゃんには、日本中、いや世界中の人々が大きな勇気をもらいました。みっちゃん、おめでとう! 感動をありがとう!

 

いっしょに走ろう

いっしょに走ろう

 
走ることで人生が変わった: ランナー27人の生き方

走ることで人生が変わった: ランナー27人の生き方

 

 

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韓国女性文学シリーズはじまりました

書肆侃侃房の海外翻訳のWoman’s Bestのシリーズで、「韓国女性文学シリーズ」の刊行がスタートしました。一作目の『アンニョン、エレナ』金仁淑(キム・インスク)が先週できあがってきました。金仁淑さんは、韓国で最も権威ある文学賞、李箱文学賞など多くの賞を受賞している作家。7作の短編はどれも面白く、校正をするのがとても楽しくもありました。『たべるのがおそい』創刊号掲載の「コーリング・ユー」で韓国の翻訳小説を初めて読み、この『アンニョン、エレナ』の表題作である、「アンニョン、エレナ」を読み始めて、韓国の小説っておもしろいなと。

さらに続けて、『菜食主義者』漢江(ハン・ガン)/クオン、『生姜 センガン』千雲寧(チョン・ウニョン)/新幹社を読みました。どの作品も読み応えあって、どうしていままで読んでこなかったかなとちょっと後悔...。韓国映画は好きでたくさん観てきたし、翻訳小説も欧米のものなどはちょこちょこ読んできたのに…。韓国の小説はこれまでなかなか読む機会がなく、今回とてもいいきっかけになりました。まだ、韓国の小説を読んだことないという本好きの方に、『アンニョン、エレナ』ぜひ手に取って読んでもらいたいです。

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明日9月22日は、アクロス福岡にて『アンニョン、エレナ』キム・インスクさん、『生姜』チョン・ウニョンさん、新鋭短歌シリーズの監修者の東直子さんの講演会があります。入場無料で、まだ少し席があるそうなので、お時間がある方はぜひ!

書肆侃侃房 » 「日本と韓国の女性作家はいま」講演会のお知らせ

 

また、9月25日には、東京国際ブックフェアやクオンのブックカフェCHEKCCORI(チェッコリ)でもイベントが行われます。みなさん、ぜひご参加ください。

2016東京国際ブックフェア内 韓国文学翻訳院主催トークイベント

 

 

アンニョン、エレナ (Woman's Best 韓国女性文学シリーズ1)

アンニョン、エレナ (Woman's Best 韓国女性文学シリーズ1)

 

 

生姜(センガン)

生姜(センガン)

 

 

菜食主義者 (新しい韓国の文学 1)

菜食主義者 (新しい韓国の文学 1)

 

 

 

 

電子書籍と本棚問題

前回のブログで電子書籍初体験の話がでてましたが、私は電子書籍にはかなりお世話になっています。それは...小説、ガイド本、雑誌などではなく...漫画...。

本はよく読むし、収集癖のうえ捨てられない性格が重なって本は増える一方。溢れた本を見るたび夫は口ぐせのように「本棚買おう!」と。そんな本棚ばっかり買ってどうする!?と応戦する私ですが、溢れているのはセットで揃った漫画なんだよな〜。

常に何か活字を目にしてたいんだけど、仕事で疲れて内容的に重いものはムリ...そういう時に漫画ってもってこいなんですよ。とにかく読めればいいからネットで中古コミックの全巻セットなんかを見つけてポチっとすれば、2、3日うちには手元に届いて例えば20巻とかがすぐに読める…便利な世の中、大人っていいわ〜...いやいやいや、そうじゃなくて、そうするとまた本棚問題で、夫の小言が...。

そんな私に救世主のようにスマホにおすすめ漫画アプリのお誘いが届いたわけです。

アプリをダウンロードして登録すると、いろんなジャンルの漫画の1巻が無料で読めたり、何ページか立ち読みできたりして...さらに今日はこれをどうぞ!とばかりに毎日お知らせが届くという念のいれよう。

このちょっと読み…がくせ者で、おもしろかったら、どうしても先が読みたい!→続きは電子書籍…「今すぐ買う」をポチっとどうぞ!と誘われて…ポチるとすぐにダウンロードが開始できる一連の抜群のユーザビリティーにまんまとやられてしまい…本を買うよりすぐに読めて、しかも本棚問題気にすることなし…そして気づけば、実際の本棚は増えてないが、スマホの本棚は増え放題という…。目に見えて本が増えないと、実際に漫画を買うよりも安易に買ってしまう傾向…パンドラの箱を開けてしまったかな。

 

侃房も電子書籍がずいぶん増えてきました。紙の本と電子版、どちらでも読んでいただけるように準備しています。

著者の方たちのエッセイをまとめた侃房のフリー季刊誌「KanKanPress ほんのひとさじ」も読むことができます。 書店に置いてありますが数に限りがあるので、電子版でポチッとどうぞ!100円です。vol.3は9月はじめにできあがります。

KanKanPress ほんのひとさじ vol.2

KanKanPress ほんのひとさじ vol.2

 

 

 

 

電子書籍はじめての体験!

「本はやっぱり紙の本よ」と思ってる私が、初めて読んだ電子書籍は、Kindleの文芸カドカワに載ってる今村夏子の「父と私の桜尾通り商店街」。駅前商店街にあるパン屋の父と娘の物語。今村さんの「あひる」は、我が出版社の文芸誌「たべるのがおそい」の創刊号に掲載され、なんと、今年の芥川賞にノミネートされ、小さな我が出版社では、テンワヤンワの大さわぎだったんですよ。結果は残念だったんだけど、かなり高い評価をいただきました。ほっ。

今村さんは、すごく寡作な方で、芥川賞ノミネートを含めても4作品くらいしか発表してなくて、『あひる』を読まれた方はお分かりいただけると思うのですが、かなり不思議な魅力があり、中毒性があるので、ほかの作品がどうしても読みたくてたまらないんです。2011年に三島由紀夫賞を受賞した『こちらあみ子』もしかり。読みたくて読みたくて。そしてもう一作が電子書籍にだけあるのを知り、初体験となったわけです。

この物語もいつものように淡々と語られ、いつものようにちょっと切ない人間模様を描いた小説。普通の人の話だけど、不思議だけど、いい感じの読後感があるのは何なんだろう。

また、中毒性を刺激された私は、次の作品を心待ちにしています。(瀬川)

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釜山に行ってきました!

主に制作の仕事をしています。著者の原稿を本の形に作っていく毎日ですが、著者としても参加している本があります。たまたまテレビで観た韓国のエンタメニュースで一人のアイドルにハートをわしづかみにされてから8年あまり追っかけの日々。ついに好きが高じて、『ぐるぐるプサン2013』から著者として参加することになったのです!

ぐるぐるプサン 2013

ぐるぐるプサン 2013

  • 作者: 博多ガクガク堂
  • 出版社/メーカー: 書肆侃侃房
  • 発売日: 2012/10/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • クリック: 1回
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初めての本ができてからあっという間に時はすぎ忙しい毎日。そんな中、久しぶりに友人とソウルへ遊びに行って心身ともに韓流になっているところへ、今度はぐるプサメンバーから釜山行きの誘いが。次のぐるプサを出すべく、久しぶりに行ってきました釜山、23日の旅。

 

自分たちのやりたいこと、行きたいところをメインに、あちこちをまわって、地図や情報に変更がないか、掲載店が今もあるかなどをチェック!エステを体験したり、人気の味を確認したり。地下鉄で移動したら、ひたすら歩いてぐるぐる。今回行ったお店はどれもハズレがなかったので、早く本に反映させたい!

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エンタメ班の私が外せないのは街角で見かける韓国俳優、アイドルたちの写真のチェック。いろんなジャンルの商品でキャラクターになることは人気のバロメーターなんですが、久しぶりに来て感じたことは、ずいぶんメンバー変ってる…そして、キャラクターのアイドル起用が減ってる。メインのアイドルたち(私のハートを盗んだ彼も)が入隊中というのも影響してるかな。

店も人気者も刻々と変っている韓国なのでした…。そして次のぐるぐるプサンを早く出さなくちゃと思ったのでした!

 

『ぐるぐるプサン』よりも先に、KanKanTripシリーズから少し落ち着いた釜山の本が出ます。『おとなの釜山 歴史の迷宮へ』。韓国に魅せられたご夫婦が何度も足を運んだ釜山と釜山から少し足を延ばして韓国南部への旅。観光スポットはもとより、悠久の歴史を刻む寺やバラエティ豊かな各地の名物料理など、夫婦それぞれの視点でていねいに綴った本になってます。韓国ドラマ好きのお二人なので、ちょこちょこドラマシーンもでてくるとこも私的にうれしい。ぜひ釜山の新しい旅のお供にどうぞ!(黒木)

おとなの釜山 歴史の迷宮へ (KanKanTrip14)

おとなの釜山 歴史の迷宮へ (KanKanTrip14)

 

 

小説を読むたのしみ

今村夏子さんの芥川賞候補騒ぎで、1カ月もの間、さまざまなことを楽しませてもらった。今回残念だったけれど、今村さんの創作の秘密を知ることもできたし、何よりありがたかったのは、今村さんが言われた言葉「久々に最後まで小説を書き上げることができたので、『たべるのがおそい』は、自分にとってとても大切な本です」と言ってくださったこと。

多くの読者の方が次作を楽しみに待っていてくださる、それが今村さんの書くエネルギーになりますように。

 

長い間小説を書いてきた友人がぽつりと言った。「田島さん、わたし何十年も小説書いてきたけど、今回『あひる』を読ませてもらって、ああ、小説ってこんなふうに書けばいいんだなあと思ったのよ、『あひる』に出会えてよかった」と言われた。

今村さんが小説を書くとき、手法を持っているかどうかはわからない。たぶん、すごく自然体なんだと思う。

 

「たべるのがおそい」2号もいま、原稿待ち。8月はじめには、ほぼ全貌が見えてくる予定。創刊号がこれほど注目されると、2号へのプレッシャーも大きい。まあ、それは考えなくてもいいはず。きっと人はすぐ忘れる。ただ、作り続けるしかない。認知されるには、3号ぐらいまではかかるかなあと思っていたけど、今度のことで認知度は高まった。ありがたいことで、これで、次号もたくさんの読者に読んでもらえるかもしれないではないか。次号発刊は10月の予定。

 

「たべるのがおそい」は、文学ムックだ。雑誌と本の中間。カタチは雑誌だけど、登録は書籍。読みやすいサイズ、持ちやすいサイズ、と思うのだけどどうだろう。私は今回、小説を読むたのしみを再発見した人も多いのではないかと思う。映画やドラマ、小説はもちろん詩や短歌も、観るたのしみ、読むたのしみがあるが、小説は想像力を求められる。出てくる人物や情景など、想像しながら読む。読んでいるうちにいつの間にか、その中のだれかに吸い寄せられていき、小説の中の世界を自分が生き始める。この人物は自分と同じだとか、こんな人物はいやだなあとか思う。そしてその先を想像し、小説の中に入っていき、いつの間にかその人物の行く末を思い描く。そうして、小説は人生に寄り添ってくる。忘れた情景を思い出す。

 

書店に行くとくらくらするぐらい本の洪水に見舞われる。でも、じっと見ていると、向こうから語りかけてくる。ふと手にした本をもとめ、読んでみる。情報だけに頼らずに書店での出会いを楽しみたいと思う。(田島)

 

 

文学ムック たべるのがおそい vol.1

文学ムック たべるのがおそい vol.1

 

 

 

モーニングで読書。

ただいま、小学3年生と0歳児を子育て中。会社を定時で退社したら、寝かしつけまで座る暇なく、やっと一呼吸ついて、テレビやらSNSなどを見ているともう寝る時間。なかなか落ち着いて本を読む時間が取れないので、本を読むのは、モーニングやランチでのすき間時間。最近は、本を読むために、モーニングに行っています。

 

4月から保育園に預けられるようになったので、こうやって本を読む時間もできて、そのタイミングで読んだ『たべるのがおそい vol.1』(校正なども今回関わらなかったので、本になってから初めて読みました!)が隅から隅まで面白くて、本読むスイッチが入りました!『こちらあみ子』『爪と目』と読んで、今朝読み終わったのは西崎憲さんの『世界の果ての庭』。たべおそ掲載の「日本のランチあるいは田舎の魔女」がとっても面白くて、これはほかの作品もぜひ読みたいと。『世界の果ての庭』もこの小説の世界にずっといたいと思わせる、心地よいストーリーでした。女性作家と、その祖父の話に、女性作家の書く物語「寒い夏」、研究していたイギリスの庭園の話に、出会った米国人スマイスに、その大伯父の話、江戸時代の国学者、辻斬りなど、いくつもの話が同時進行し、次々と紡がれていく。2回、3回と読んでいくとまた違った読み方ができそうで何度でも楽しめる小説だなと。たべおそでもぜひ西崎さんの新作読んでみたいです。(池田)

 

 

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